翻刻
【右丁】
巴旦杏(はたんきよう) 匾桃(へんとう)《割書:桃の|集解》 波淡樹(はたんしゆ)《割書:同|上》
物印忙(うへいんまん)の説(せつ)に甘巴旦杏(かんはたんきやう)は身体(しんたい)を養(やしな)ふ《振り仮名:■嗽|かいろう》【注①】を除き精力(せいりき)
脱欠(たつけつ)《振り仮名:■痩|かいさう》【注②】を強壮(けうさう)にして労瘵(ろうかい)及ひ肺労(はいろう)の症(せう)を復(ふく)す苦(く)
巴旦杏は暖地(たんち)に生す桃樹(とうちう)より高(たか)く葉 狭(せは)く長(なか)く尖(とか)り味(あしは)
ひ苦し春花白色 下利(けり)の功(こう)■し【注③】胸中(けうちう)の粘痰(ねんたん)を吐咯(とらく)す
しめ吐(と)を止(とゝ)む此を食(くらつ)て酒(さけ)を飲(のめ)は酔(ゑ)ふことなし狐(こ)■(へう)【注④】鳩(きう)
鶏(けい)に甚(はなは)た害(かい)あり動もすれは死す桃(とう)の集解に匾桃(へんとう)出(いつ)
《振り仮名:南番_一|はんよりいつ》【注⑤】形(かたち)匾(いひつに)肉(にく)渋(しふく)核状(かくのかたち)《振り仮名:如_レ盒|かふのことく》其(その)仁(にん)甘美(かんひ)蛮人(はんにん)《振り仮名:珍_レ之|これをちんとし》名(なつく)
波淡樹(はたんしゆは)樹(しゆ)甚(はなはた)高大(かうたい)偏核桃(へんかくとうは)《振り仮名:出_二波斯_一|はしにいつ》形(かたち)薄而(うすくして)尖(とかり)頭(かしら)偏(へんに)状(かたち)
《振り仮名:如_二半月_一|はんけつのことし》其(その)仁(にん)酷(はなはた)《振り仮名:似_二新羅桃子_一|しんらはとうしににたり》《振り仮名:可_レ食|くろふへし》といへり
【左丁】
甘巴旦杏(かんはたんきよう)
アメイクタリュスペルシカ
ナ。ナフロレカルネヲ。フ
レノアマイシ《割書:物印忙に|載る名》
物印忙(うへいんまん)に
載(のす)る図(つ)
【注① ■は「咳+欠」・「咳」ヵ「欬」ヵ。「咳嗽」の読みは「がいそう」。公文書国立公文書館デジタルアーカイブでは「嗽咳」(『本草図譜巻之61・62』コマ11 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676196)。】
【注② ■は「𮊵」の「羊」の横線が二本。ルビ「か」は「る」ヵ。「る」の○の部分を書き足しているように見える。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「𮊵」、ルビ無。】
【注③ ■は「小」ヵ「少」ヵ。「に」にも見える。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「な」。】
【注④ ■は「犭+苗+ハ」・「猫」ヵ「獚」ヵ。国立公文書デジタルアーカイブ(注①と同)では「猫」。】
【注⑤ 「出南番_一」は「出_二南番_一」ヵ。「南」のルビが無く「いつ」重複ヵ。】
【文中の「旦」(四箇所)は「且」に見える。】
【七行下から三字目~「吐咯すしめ」は国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「吐咯せしめ」】
【十行下から四字目「人」のルビ「に」は別の字の上から書いている】