翻刻
【右丁】
江梅(こうはい)《割書:集|解》 やばい 直脚梅(ちよくきやくはい)《割書:梅|譜》 野梅(やはい)《割書:同|上》
大和本草に尤(もつと)も香(かう)多(おゝ)く梅に好文木(こうふんほく)と云 事(こと)晋(しん)の起居注(ききようちう)
に見(み)へたり日本の俗(そく)に好文木(こうふんほく)と称(せう)するは白梅の香(か)すくれ
たる一種ありと云り人家 庭際(せいさい)に多(おゝ)く栽(うへ)て花(はな)を称(せう)し実(み)を
塩蔵(ゑんそう)す花五弁白色実杏に似て小く微(すこ)し毛あり肉の味
ひ酸(す)く核(かく)小にして円(まる)し肉と核(かく)と離(はな)れす仁(にん)は杏仁に似て
小く一方 尖(とか)りあり一種すゝうめと云あり形状(かたち)やはいと同し枝(ゑた)
を連(つらね)て実をとりこれを振(ふるう)ときは核(かく)に音(おと)あること鈴(すゝ)の如し一
種 和実梅(わしつはい)と云あり駿(すん)州及ひ江戸の宮園(くわんゑん)【注①】にあり花葉
やはいの如(こと)くにして唯(たゝ)実(み)熟(しゆく)して核(かく)甚た薄(うす)し和(やわら)かなり枝(へた)を
連(つらね)て食(くろ)ふ一種とこうめと云あり武州 多摩郡(たまこほり)《振り仮名:青梅村|■をめむら》【注②】に
この梅あり故 村(むら)の名とす葉花やばいと同しく唯実緑色
にして冬月に至(いた)るまて落(おち)す
【左丁】
一種
冬至梅(とうしはい)《割書:和|名》
《振り仮名:冬至|■うし》【注③】に花を
開(ひら)く萼(かく)淡紅(たんこう)
花白色 単弁(たんへん)
なり
【注① 「宮」は「官」ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブでは「官」(『本草図譜巻之61・62』コマ14 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676196)。】
【注② ■は「あ」ヵ。「ひ」「い」にも見える。】
【注③ ■は「た」ヵ「と」ヵ。「こ」にも見える。】