翻刻
【右丁】
一種 こうめ
しなのうめ
かうしうばい
大和本草(やまとほんさう)に
甲斐(かい)信濃(しなの)よ
り出(い)つといへり
今(いま)処々(しよ〳〵)これあ
り形状(かたち)野梅(やはい)
と同(おな)ふして【注①】○△
○△唯実四月 熟(しゆく)して小なる
こと大豆(たいつ)の如(こと)し又 稍(やゝ)大に
して指頭(しとう)の如きもあり
【左丁】
消梅(せうはい)《割書:集|解》 つらゆきばい
此物 紀(き)の貫之(つらゆき)愛賞(あいせう)するゆへ名(な)つく枝幹(しかん)稍(やゝ)杏(きよう)に似て紫
褐色花白色単弁 甚(はなはた)大ひにして実(み)円く大に熟(しゆく)すれは微
し紅色生にて食すれは甘美(かんひ)塩蔵(ゑんさう)する時(とき)は味ひ劣(おと)る
集解(しつかい)に実(み)円(まるく)鬆脆(すうき)《振り仮名:多_レ液|ゑきおゝし》《振り仮名:無_レ滓|かすなし》惟(たゝ)《振り仮名:可_二生噉_一|なまにてくろうへし》《振り仮名:不_レ入_二煎造_一|せんさうにいれす》と
いへり消梅(せうはい)と名■り物【注②】は液(ゑき)多(おゝ)し滓(かす)なく口中(こうちう)にて消(せう)する
か如き故 名(な)つく然(しかる)■【注③】大和本草(やまとほんさう)に小うめを充(み)つるは的(あたら)す
小うめは小にして食(なま)【注④】にて食(くら)へは味ひ苦し由(よつ)て今(いま)《振り仮名:𨸩む|あらたむ》
【注① 「同(おな)ふして」のルビは「おなし(じ)」ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブでは「同くして」(『本草図譜巻之61・62』コマ17 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676196)。】
【注② 「名■り物」は「名つくり物」ヵ。■は「く」一文字にも見える。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「名つくる物」。】
【注③ ■は「こと」の合字ヵ「を」ヵ。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「然る」。】
【注④ 「食」は「生」の誤りヵ。国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「生」。】
【十一、十三行目の△は右が鋭角の三角形ような記号】
【二十二行目文末「る」は「り」を書き直している】
【二十三行八字目~「多液」のルビ「し」は書き直している】
【二十六行下から二字目「𨸩」は国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同)では「改」】