翻刻
一つき出し一ッあはすを勝(かち)とするはこれ
薩摩拳(さつまけん)といふなり
一拳は興(けう)をもやうすものなれは勝(かつ)
ことはかり手柄(てから)とするにもあらす唯(たゝ)
ゆひのよくわかりとかく綺麗(きれい)にうち
なしてすなほなるを専一(せんいち)とすたとへ
うちたりとてきたなく比(ひ)きやうなるは
はなはた見苦(みくる)しくまた恥(はち)あることなり
扨(さて)拳(けん)にてかけろくろくなどすへて勝負(しやうぶ)
かましき事(こと)はけつして為(す)ましかけ
なとをして打時(うつとき)は自然(しせん)とみくるしき
ゆひいではなはた見にくき物(もの)なり
一 六箇鋪(むつかしき)拳打(けんをうつ)に心得(こゝろへ)之事
上手(しやうず)の拳は出(で)る指(ゆひ)あざやかにして言語(ことば)