翻刻
父(ちゝ)母(はゝ)の目(め)を
ぬすみ
たる
いた
づらは
身(み)の
あと
さきも
見えぬ
くら
闇(やみ)
消(きへ)はてゝ。孝行(かう〳〵)の名(な)高(たか)く。四方(よも)にかくれなけれは。
其(その)所(ところ)の大守(たいしゆ)より。是(これ)をむかへて。妻(つま)とし給ひ
ければ。我(われ)のみならず。親(おや)兄弟(けうだい)。一家(いつけ)。一門(いちもん)までの
鼻(はな)を高(たか)ふせしとかや。亦(また)同(おな)じ所(ところ)に。美目(みめ)形(かたち)。
世(よ)にすぐれし。うるはしき娘(むすめ)ありけるが。父母(ふぼ)に
事(つか)へあしく。心(こゝろ)ざま。正(たゞ)しからざりしかば。仏神(ぶつしん)に
見はなされ。よしなき男(おとこ)と。いひかはして。我(われ)
而已(のみ)歟(か)。親(おや)兄弟(けうだい)。一家(いつけ)。一門(いちもん)迄(まで)の鼻(はな)を。凹(ひく)くし