翻刻
小人(せうじん)の
冨貴(ふうき)
は
猫(ねこ)に
小判(こばん)
なり
真実(まこと)に
まさる
目出度(めでたき)は
なし
不学(ふがく)なりで。我(わが)生(うま)れつきの。有(あり)べかゝりにて。少(すこし)も
偽(いつ)わり。かざらず。こしらへぬこそ。却(かへつ)て見(み)よき
ものなるに。鼻(はな)の凹(ひくひ)が。鼻(はな)の凹(ひくひ)を。かくさんとて。
汝(なんぢ)がごとく。又(また)一(ひと)つ鼻(はな)の上(うへ)に。鼻(はな)をこしらへて。
人(ひと)にも笑(は)らはれ。我(われ)もくるしみ。貧乏人(びんぼうにん)が。貧(びん)
乏(ぼう)をかくさんとて。借銭(しやくせん)のうわぬりして。人(ひと)
にも笑(わら)はれ。我(われ)も苦(くる)しみ。鈍(どん)なものが。利口(りかう)ぶつ
ては。人(ひと)にも笑(わら)はれ。我(われ)もくるしみ。不器用者(ぶきようもの)が。