翻刻
【右丁】
まきしめ糠(ぬか)五升に塩(しほ)一升を合(あは)せ沢庵漬(たくあんづけ)のごとく
つけこみしつかりと押(おし)をかけて漬(つけ)るなり十五日ほど
たてばよし糠(ぬか)を洗(あら)ひ結(ゆわ)ひめをときて木口(こぐち)より切(きる)に
【渦巻の図】の如し味(あぢ)辛(から)く甘(あま)くして歯(は)ぎれよし
達摩漬(だるまづけ)
まるづけ瓜(うり)の季(すえ)なりを二ッにわり中実(なかご)をとり甘塩(あましほ)に
して押漬(おしづけ)にする瓜(うり)の形(なり)【瓜の図二個】手遊(てあそ)びの達摩(だるま)に似(に)
たる故(ゆへ)に呼(よぶ)ものか皮(かわ)こわくして中(うち)に禅味(ぜんみ)を甘(あま)んずる
かそもさん
【左丁】
捨小舟(すてをぶね)
越瓜(しろうり)を二ッに割(わり)中実(なかご)を能(よ)く取(とり)て塩(しほ)を盛(もり)て日にほし
あげ水をこぼさずしてほしつける六七日もほしてからび
たる時(とき)に重(かさ)ねて壺(つぼ)やうな器(うつわ)にたくわふべし冬(ふゆ)の中(うち)
より春(はる)へかけて味淋(みりん)に浸(ひた)しおき珍客(ちんきゃく)にもてなすに妙(めう)
なり当座喰(とうざぐひ)には一日/干(ほし)て程(ほど)とす誰(たれ)やらが
夕立(ゆふだち)や干瓜(ほしうり)の身(み)を捨小舟(すてをぶね)
といふ句(く)によりて名(な)づけしとぞ
雷干(かみなりぼし)瓜