翻刻
【右丁】
おといとて十三になりけるにもみちかさねの七あ
こめ【衵】にあてやかなるすかたにて参らせたりおとい
もひめきみにあそひつきて御そはをはなれ参ら
せすみやつかひける中将殿はひめきみしゝうに
むかひていまはこれをはわかすみかとおほし
めしてなにことも御はゝかり有へからすとのたま
へは二人なから心やすくそおほしけるかくて
あかしくらし給ふほとにしも月五日にちゝ大し
ん殿大り【内裏】へ参り給ひぬるところにそらかきく
もりゆきふりけれはたいりよりかへりゑすし
てしゝいてん【紫宸殿】にやすらひ給ふところにさ大しん殿
【左丁】
出き給ひてよのつねの物かたりし給ふつゐてに
大しん殿おほせけるはかやうの事申はくるしき
事にて候へともなんしはあまたもちたれとも
女子はたゝ一人ありひとりもちたる女子なれはう
ちへ参らせはやとおもへとも中将殿御ゆくすへを
まほり参らせてけふまてもちて候とありしか
は大しん殿の給ふやうこれよりも申たく候つ
れとも御もちい候はてははちかまし【恥がまし=恥をさらすような感じがする】く侍らんと
おもひて申むねはかやうにうけ給はり候よろこ
ひ入候さ候はゝまかりかへりてよからん日をたつね
て申候はんとの給へは大将殿ちかきほとは十日