翻刻
【右丁】
参りけかうのそのかすおゝき中にとし十五六
はかりなるひめきみを小ようはうたち五六人
してたちかへしぬらさしとする所に中将殿こ
れを御らんし給ひてわかさゝせ給へる御かさを六
ゐのしんにおくらせ給ひたりひめきみこはいか
にとおほしめしみあけ給ふ御めのうちあくま
てあひきやうがましく【愛敬がましく=あいくるしく魅力的である】けたかくうつくしうみ
え給ひたりけりさてひめきみはきよみつのひん
かしのへんにたゝすみていまは御かさ参らせよ
とてかへされけり中将殿はぬれ〳〵御かさまち
えさせ給ひていまの人々はいつくにそとの
【左丁】
給へはいまたあれにわたらせ給ひて候と申けれ
はやかて人をやらせ給ひてみせ給へは見え給
はす中将殿心もとなくおほしめしけりさて女
御の御かせの心ちはへち【べち=別】のことわたらせ給はねは
やかて御けかうあるへけれともひるのかさをく
り給ひたる人のゆくゑの心にかゝりそのうへ
女御の御かせもへちのことわたらせ給はすたれも
こよひはこれにつやせん【費やせん】とてほとけの御まへに
あくかれゐ給へりたつねんかたもおほへすせんかた
なくてたゝつく〳〵となかめかちにてつほねに
いらせ給へともしつ心なかりけりさるほとにとな