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コレクション: 松平文庫

文久三亥雑記 - 翻刻

文久三亥雑記 - ページ 30

ページ: 30

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用無之暫期日猶予申入処彼益増長して一刻猶予不相成旨断ニ及ニ付 右ハ二老受深く恐懼し低頭平身して仏夷のモンスールニ取扱を頼 入剰此節ニ至りてハ四十万トルラル程の大金を英夷ニ可相渡之談判に 及ふ段誠以悲哉血涙不可止然れとも右両老ハ素より犬馬同様ニ腰抜とも なれハ論ニ足すれとも水戸中納言殿下の神霊江対し何之面目有候也 又其臣下一同も■めを入さるとハ水防之武威も既ニ此ニ尽たり嗚呼如此 国辱を西洋ニ輝して何そ少しモ自ラ恥るの心なきや凡そ政府大小之   役人ハ皆国賊にして神罰免れさるの輩也仮令如何なる深謀遠慮鎖港 之儀有にもせよ無礼倨傲傍若無人の書翰持参して其使の首を 刎る事も不成さへあるに数十万の大金を相渡実に皇国之大恥辱ニあ らすや永ク志吏ニ止て渡来英夷之口実とならん豈悲しからさらんや 凡恥をしらさるを是禽獣といふ我皇国をして禽獣の国に■らしむ 嗚呼如此ハ父君を弑するの罪ニ何れ重きや然して初より億病未煉兵 事を恐れ大金を出し済さんとならハ□□騒し天下を動揺さする まてもなく己らの周章悦忙せしより諸人ニ迄是か為に金財を■さしめ 農民の農時を奪ひ天下を困窮せしむ嗚呼何の面目有て上天 日を拝するや下万民ニ対するやしかして自らハ尺寸も報国の志 なく因循苟只虚飾のミを事とし身の堤防のミ構るから唯人にのミ 報国を尽せ死力を尽国恩を迷忘すへからすなとゝ命令のミ五六 度出して何そ天下の人皆汝ら如き鼠輩ニあらんや其命令なくとも 誰か報国を志さらんや今吾切歯痛憤の余り此書を張置て 天下有志の諸侯英雄義肝の忠士に普く観せしめ異日我其 党を率ひ来り水戸中納言老中以下此度国辱を取計し者共の 首を切肉を喰て此所に曝して天神地祇の震怒を慰んとする已   文久三亥年五月        皇大国の忠士                    鳥山九郎秋龍