翻刻
亥五月十二日夜新両替町四丁目中程明地板塀ニ
張有之書面写右町ゟ訴
我皇大国彼醜夷之為ニ蔑侮汚穢を蒙る我是か為ニ日夜露寝切
歯痛歎する事既数年然るに今年二月中英夷之軍艦渡来して
長々斎らし来ル処之書翰ハ嶋津三郎一族を不引渡おゐてハ此償として
五十万トルレル外ニ三万トルラルを可相渡若両条共不相成ハ長崎箱館
其地諸湊へも乱防致し且江戸大坂共焼払へしと其書大略如此候無礼
驕慢我国をして姉女の国たらしむ誠以怒激発憤の至りならすや蓋
是ハ本より我を騒擾して肝を冷さしめ数多の大金を貪らんとの姦
計のみ実ニ首を切肉を喰つても猶足へからさるを老中井上河内守
松平豊前守等之如き億病腰抜之輩其姦計たるをしらす大に恐怖狼
狽して重大之事件とし松平春嶽公ゟ速ニ打払可申旨申越せしを取