翻刻
【右ページ】
火前坊(くはぜんぼう)
鳥部山(とりべやま)の烟(けふり)たちのぼりて
龍門(りやうもん)原上(げんしやう)に骨(ほね)をうづまんと
する
三 昧(まい)の地(ち)よりあやしき形(かたち)の出たれば
くはぜん坊(ばう)と名付(なづけ)たるならん
【左ページ】
蓑火(みのひ)
田舎道(いなかみち)などに
よな〳〵
火(ひ)のみゆるは多(おほ)くは
狐火(きつねび)なり
この雨(あめ)にきる
たみのゝ嶋(しま)と
よみし蓑(みの)より
火(ひ)の出(いで)しは
陰中(いんちう)の陽気(やうき)か
又は耕作(こうさく)に苦(くるし)める
百姓(ひやくせう)の臑(すね)の火
なるべ
し