翻刻
/馬鹿(はか)りちぎに/色(いろ)の/品(しな)をわるびれる/物(もの)と/心得(こころえ)しものならんもはや
十八なれば/押付(おしつけ)わざしたりとて/気(き)づかひなる事もなしかの/所(ところ)にはうる
ほひはあらんものをと/是非(ぜひ)を/云(い)はさず/組(くみ)ふせおしはだけてぬッとさし
こみてあいた〳〵といふをもかまはず/心(こころ)の/侭(まゝ)に/埒(らち)をあけ思ふぞんぶんに/気(き)
をやりて事すみけれどもぐす〳〵ト泣あかし/夜明(よあけ)たらばはゝさまに/云(いふ)べし
/此(この)やうなむたいな事をするものかなトすり/上(あげ)〳〵なき/居(ゐ)るに/興(けう)さめて
夜も/寝(ね)られすそのうちにしら〳〵と/夜明(よあけ)たり/翌朝(よくてう)は/隣家(となり)あ
たりのうば/嗅目出(かくめで)たやとて/寄合(よりあひ)ければ/母(はゝ)もとく/茶(ちや)など/煮(に)させ
/茶(ちや)のここしらへもてなし/嫁子(よめこ)は/何(なに)とて/出(いて)て茶のみもいぬ/近所(あたり)の/衆(しゆ)
も/見舞(みまい)れしに/出(いで)合給へと/四五度(しごど)のつかひにて/皃府(かほはら)し出けるゆへ/母(はゝ)
見て/何(なに)とせしぞ/気合(きあう)にてもありきや/心(こゝろ)すまぬなりやト/問(と
)はれて/嫁云(よめいひ)けるは