翻刻
/子(こ)を/連(つ)れ/尾張(をはり)へのぼりあきなひしけるにうちつゞき/仕合(しあは)せよく
もはや/我等(われら)は/妻(つま)にこりはて/三度目(さんどめ)の/必至(ひつし)とこゝろえて/養(よう)
/子(し)によめとりて/家(いへ)をわたしける/我身(わがみ)はひとり/暮(くら)しこゝろ/安(やす)く
かげまぐるひにつかへをはらし/今(いま)は/楽(らく)の/身(み)にて暮しはべる
/侍(はべ)るこのたびそこの/江戸衆(えどしゆ)にさそはれふと/京(きやう)のぼりして/日々(ひゞ)に
/名所古跡(めいしよこせき)を/見物(けんぶつ)して/今夜(こよひ)はからずめづらしき/人々(ひと〴〵)に/出合過(ではひすぎ)にし
むかしの/恥(はぢ)をさらし/侍(はべ)る/所謂他生(いはゆるたしやう)の/縁(えん)にこそと/汗(あせ)ぬくび〳〵/語(かたり)ける
/清水通夜物語(きよみづつやものがたり)初篇上終