翻刻
《割書:地震|津波》やなぎだる
【上段】
地(ぢ)しんとは治(おさま)る
身(み)よと儒者(じゆしや)祝(いは)ひ
風呂屋(ふろや)からふりで
かけ出(だ)す大地震(おほぢしん)
昆布巻(こぶまき)をぢしん
みまひにしやれてやり
雲(くも)ゆきの沙汰(さた)は
ぢしんのゆつた後(あと)
晴雨考(せいうかう)を地(ぢ)しん入(いり)かと
とふて買(かい)
飛脚屋(ひきやくや)と
本屋(ほんや)の門(かど)に人(ひと)だかり
病(やま)ひ雨(あめ)旱(ひでり)
大 風(かぜ)和(わ)怪(け)我(が)なし
気(き)がぬけて
津なみ深みをウヽロうろ
大黒(たいこく)で止(とま)り
戎(ゑびす)は御安心(ごあんしん)
水(みづ)あげもせぬ
新造(しんざう)の舩(ふね)がわれ
おぼれ死(じ)に
三 途(づ)の川(かは)を又 案(あん)じ
地震(ぢしん)さへ
いはんや津波(つなみ)においてをや
【下段】
流(なが)れの身(み)とは
つなみのぴんしよ舩(ぶね)
藍色(あいいろ)もわかぬ
紺屋(こんや)の大地(おほぢ)しん
焼接屋(やきつきや)の
しごと地(ぢ)しんで跡(あと)もどり
地震(ぢしん)から菱屋(ひしや)の
借屋(しやくや)かり人(て)なし
津波(つなみ)さまと
いひそふな舩大工(ふなだいく)
仮小屋(かりごや)て地(ぢ)しん
ゆらする若女夫(わかめをと)
世直(よなを)りと
産屋(さんや)震(ふる)ひ〳〵いひ
身上(しんしやう)のゆかみ
ぢしんで人(ひと)に見(み)せ
四五日(しごにち)は
大工(だいく)の建(たて)ぬ家(いへ)に住(す)み
ソリヤ震(ゆる)と仮小屋(かりごや)
からも飛(とん)で出(いで)
地蔵会(ぢぞうゑ)は竹(たけ)で
ぢしんは杉丸太(すぎまるた)
地震(ぢしん)にも
ゆるがぬ御代(みよ)の御大塀(ごたいへい)