翻刻
給ふこのいるか【(蘇我)入鹿】の大臣と申は二さうをさとる【注①】
ほとの人なれはてうてい【朝廷】をかたふけまいら
せてわれはんせうのくらゐ【万乗の位=天子の位】にならんとふる
まひしによつてかまたり【(藤原)鎌足】に仰つけらるゝ
されとかれをほろほさんこと人のちからに
をうふへからすとおほしめしてなうそ【曩祖(のうそ)=先祖】春日の
明神とすみよしの大みやうしんへふかくき
せい【祈誓】をかけさせ給ふにそのしるしけんちう【厳重…神仏の霊験があらたかな様子】
にしてみとせかほとになんなくほろほし
給ふ君のえいかん【叡感=天子・上皇などの感嘆・賞讃】あさからすしてそのちう
【左丁】
しやう【忠賞=忠功のあった人に褒美を与えること】に大しよくはん【大織冠】のつかさをそ給はりけ
るまことにためしなきことともなりさてかま
たりは御よろこひにすみよし大明神に
まいらせ給てさま〳〵のたからも【「たからもの」カ】をさゝけ
きくはんのほうへい【祈願の宝幣】を奉らるいよ〳〵当家
るいそん【「累孫」カ】にをいてなかくくはんろく【官禄=官位と俸禄】をまも
らせ給へとてせい〳〵をいたししん〳〵【信神】のかうへ
をかたふけ【注②】給ふかたしけなくも明神はかりに
すかたをらうをう【老翁】にへんしたつとき御声
にてなんちちよくめい【勅命】にしたかひうちかたき
【注① 二相を悟る=外面によって内面をおしはかり知る】
【注② 頭を傾け=深く信仰するさま】