翻刻
【右丁】
ともかくも【どうにでも】ならはやとおもひすまして御
せんちかくすゝみよる所にわか君はする〳〵と
はしりよらせ給ひて仰けるはいかに父うへ
そのすゝりは何ともしらすわれ〳〵かとり出
し見侍るとてとりおとしてわりはんへる
なり仲太はいかてかそんすへきと申させ
給へは大なこんとのきこしめしもとより
御きしよくあしきうへなれはいよ〳〵御け
しきそんしてなんてう【なんじょう=何を言うか】あのすゝりはほん
ふ【凡夫】のみることにてはあらすわれよう〳〵の
【左丁】
あるおりふしもまつ七日かほとしやうしんけつさい
してつかふことなるかたやすくさかしいたして
かゝる家のてうほうをうしなふことこそ心えね
なんちはわか代をつくへき子にはあらす家を
ほろほへきかたきのうまれきたるにこそあ
らめとて御はかせを【守り刀の刀剣】引ぬきてあへなくかはし
給ふそむさんなる御ちゝうへもめのともはし
りよりあはてさはき御しかい【死骸】にいたきつき【抱きつき】
これはゆめかやうつゝかとしはしたえいり給ひ