翻刻
世王(せわう)帝(てい)を要して蘭噸(ろんどん)に来(きた)らしむ是(こゝ)に於(おい)て英吉(えげれ)
利(す)の船卒装(せんそつのよそほい)を為(な)して王船造場(わうせんのさいくば)に寓(ぐう)す常(つね)に曰(いわ)く
若(もし)俄羅斯(おろしや)帝(てい)ならざりせば願(ねかは)くは英国(えいこく)の「フロー
トホーグト」《割書:艦隊|将校》と為(な)らんと云(い)へり此/土(ど)に在(あ)る
間(あい)だ帝(てい)に給仕(きうし)する者(もの)六百/余人(よにん)皆(みな)軍校(ぐんかう)築城学士(ちくじやうがくし)
砲手(はうしゆ)外科(ぐはいくは)等(とう)一芸(いちげい)に長(ちやう)ずる人(ひと)なりと云(いふ)諸(もろ〳〵)の帝(てい)と
交(まじは)る者(もの)その材器(きりやう)を賞(しやう)せざるはなし「ヲキスホル
ト」《割書:地|名》の大学校(だいがくかう)より特命褒書(とくめいほうしよ)【「タグイナキメイノホメジヤウ」左ルビ】をあたふ居(お)ること
三月にして英吉利(えげれす)を去(さ)り和蘭(おらんだ)を過(す)ぎ「デレステ
ン」《割書:地|名》を経(へ)て「ウエーネン」《割書:府|名》に赴(おもむ)き意太里亜(いたりや)に到(いた)ら