翻刻
ガット」艦(ふね)を備(そなへ)ざるに先(ま)づ一員(ひとりの)大将(たいしやう)を選(えら)んで「アト
ミラール【」】《割書:舶軍|都督》に任(にん)ず初(はじ)め先帝(せんてい)「アレキセイ」和蘭(おらんた)
の舶匠(ふなだいく)を召(めし)て一隻(いつそう)の戦艦(いくさふね)を造(つく)らしめ北高海(きたかうかい)に
泛(うか)んで百爾西亜([ペ]るしや)と交易(かうえき)せんとす既(すて)にして船(ふね)な
る名(な)づけて「アーデラール【」】と云(いふ)航(ふなて)して亜斯答臘(あすたら)
罕(かん)に到(いた)らんとす同河(とんが)の哈薩克人(こさつけんしん)攻(せめ)て之(これ)を燬(や)く
士卒(しそつ)敗(やぶ)れ走(はし)る中(なか)に和蘭人(おらんだじん)二名(ふたり)ありて莫斯科窪(もすこう)
に走(はし)り返(かえ)る其(その)一人(ひとり)は「コンスターペル」《割書:舶上打礫|手の官名》
名(な)は「カルステンフランド」と云(いふ)是(こゝ)に至(いたつ)て帝(てい)また
擢(あけ)て一位(いちゐ)造艦大匠(ふなたいくのとうりやう)と為(な)し大(おほい)に舟楫(ふね)を造修(さうしゆ)【「ツクル」左ルビ】す時(とき)