翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

日本阿闍世太子 / 津打治兵衛作 - 翻刻

日本阿闍世太子 / 津打治兵衛作 - ページ 12

ページ: 12

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御まへに■り。ひぜんのかみさんだい《割書:■■にて|たうけ【道化】》其後みき【御酒?】をもち出是はめいしゆ【銘酒】にて候へは。さし上 候といゝもあへずしんわうをてごめにし。むねにたちをさしあてる。さ京みてこは何事でひぜん のかみ。もつたいなくもしんわうをてこめにするは扨はふた心にて有しな。それゆへ御めみへをこいね がひしがびぜんのかみ聞成ほど其とをり。くわんばくかねみちゟ。しんわうをいけ取来れと有■ かくはなす。さあわたすかいぎに■いゝがいすると【???】。刀をおしあてれは。長五郎は身ぶるいしなふたす け給へさきやうどのと。なみだをながしいへばさ京聞扨はたばかりける。此うへはぜひなし。其しんわうを わたせは我〳〵が命はべつじよなきか。をゝしんわうさへうけとれはかた〴〵はたすけしぞ。然らはなる程 つれ給へ渡し申さん。はぎはらそばにて是をみ給ひ。何とてあのしんわうを。おめ〳〵とみながら渡 されん。ぜひに我をつれゆけと身をもがきかけ出給ふを。左京とゞめあのしんわうをわたし 申せはたみのため。又我〳〵がいのちもべつきなし。ひらに我にまかせ給へ。しんわう聞召。我か命を たすかり是か其まゝあられんやと。一人なげき給ひける。長五郎はかなしく。こは何たるむくいぞや。 いのちをたすけ給はれと手を合おがみける。さ京みてみれんなる御しんてい。もはやのがれ ぬ事と思ひ。すみやかにころされたまへと。むりにしんわうになしわたしけれは。ひぜんのかみはかの 長五郎をまことのしん王と思ひ。らうごし【牢輿】にのせ申。みやこをさして急ぎける。しんわうも中宮 も。いのちはたすかり給へ共。ふびんはつまのおすまなり。左京人〳〵をいさめしゆごしける。かくて川 【左ページ】 こへ弥介両人みやごの有様聞。ふたみがうらへ帰りし所へあやしやらうごしをしゆごしさきをは らふてとをりける。二人立ふさかりみれは。侍共らうせさ【?】千万是はみやこゟのせんじにて。ひぜんの 守しんわうをいけ取奉りしぞ。そこ立のけといかりける。二人はおどろきこはいかにと。たちぬき 侍共に切りかゝりおつちらし。扨〳〵あやうき御事かな。いざろうこしを出し奉らんと戸をあけれ は。長五郎ゆめのことくに立出。人〳〵をみて。らいはいす。もくの丞両人もこはもつたいなやとらいはい なしけるは。おかしかりける次第也。さ京人〳〵を御とも申立出二人の人にたいめんし。まことのしんわう 是にましますぞ。あの者はあまの長五郎と申もの也。きみの御身かはりに。しまもりをたば かりしぞ。扨みやこのやうす心もとなしといへば。二人聞さればくわんばくかねみちはおのれとていゐに【帝位に】へあがり金玉丸さまをおいうしない奉り。いづく共なく成給ふ。扨みかど天王はおいのち べつきなく。かづさの介がしゆごし。かくれしのばせ給ふと一とにかたり。おつ付打て御くりま【?】 しませ扨たゞ今のもの共是へ打て来るべし。はや立のかせ給へ。さ京聞いや此みちはひせんの守 がれうち【領地】なれは心もとなし。いかゝせんとあれは。長五郎立出我ふねの候へは。あれにめしてむかふ じまへのき給へそれ〳〵女ばう御共せよ。我はあとにとゝまりて。おつてを■入おつ付べし。人々 聞是ざいわい。して其方ふねなくて何としておつ付へし。もとゟあまの事なればうみへ入て 参るべしと人〳〵をふねにのせこぎいたせは。さわ今【?】にて心やすけれと。長五郎たゞ一人ひぜんの