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御まへに■り。ひぜんのかみさんだい《割書:■■にて|たうけ【道化】》其後みき【御酒?】をもち出是はめいしゆ【銘酒】にて候へは。さし上
候といゝもあへずしんわうをてごめにし。むねにたちをさしあてる。さ京みてこは何事でひぜん
のかみ。もつたいなくもしんわうをてこめにするは扨はふた心にて有しな。それゆへ御めみへをこいね
がひしがびぜんのかみ聞成ほど其とをり。くわんばくかねみちゟ。しんわうをいけ取来れと有■
かくはなす。さあわたすかいぎに■いゝがいすると【???】。刀をおしあてれは。長五郎は身ぶるいしなふたす
け給へさきやうどのと。なみだをながしいへばさ京聞扨はたばかりける。此うへはぜひなし。其しんわうを
わたせは我〳〵が命はべつじよなきか。をゝしんわうさへうけとれはかた〴〵はたすけしぞ。然らはなる程
つれ給へ渡し申さん。はぎはらそばにて是をみ給ひ。何とてあのしんわうを。おめ〳〵とみながら渡
されん。ぜひに我をつれゆけと身をもがきかけ出給ふを。左京とゞめあのしんわうをわたし
申せはたみのため。又我〳〵がいのちもべつきなし。ひらに我にまかせ給へ。しんわう聞召。我か命を
たすかり是か其まゝあられんやと。一人なげき給ひける。長五郎はかなしく。こは何たるむくいぞや。
いのちをたすけ給はれと手を合おがみける。さ京みてみれんなる御しんてい。もはやのがれ
ぬ事と思ひ。すみやかにころされたまへと。むりにしんわうになしわたしけれは。ひぜんのかみはかの
長五郎をまことのしん王と思ひ。らうごし【牢輿】にのせ申。みやこをさして急ぎける。しんわうも中宮
も。いのちはたすかり給へ共。ふびんはつまのおすまなり。左京人〳〵をいさめしゆごしける。かくて川
【左ページ】
こへ弥介両人みやごの有様聞。ふたみがうらへ帰りし所へあやしやらうごしをしゆごしさきをは
らふてとをりける。二人立ふさかりみれは。侍共らうせさ【?】千万是はみやこゟのせんじにて。ひぜんの
守しんわうをいけ取奉りしぞ。そこ立のけといかりける。二人はおどろきこはいかにと。たちぬき
侍共に切りかゝりおつちらし。扨〳〵あやうき御事かな。いざろうこしを出し奉らんと戸をあけれ
は。長五郎ゆめのことくに立出。人〳〵をみて。らいはいす。もくの丞両人もこはもつたいなやとらいはい
なしけるは。おかしかりける次第也。さ京人〳〵を御とも申立出二人の人にたいめんし。まことのしんわう
是にましますぞ。あの者はあまの長五郎と申もの也。きみの御身かはりに。しまもりをたば
かりしぞ。扨みやこのやうす心もとなしといへば。二人聞さればくわんばくかねみちはおのれとていゐに【帝位に】へあがり金玉丸さまをおいうしない奉り。いづく共なく成給ふ。扨みかど天王はおいのち
べつきなく。かづさの介がしゆごし。かくれしのばせ給ふと一とにかたり。おつ付打て御くりま【?】
しませ扨たゞ今のもの共是へ打て来るべし。はや立のかせ給へ。さ京聞いや此みちはひせんの守
がれうち【領地】なれは心もとなし。いかゝせんとあれは。長五郎立出我ふねの候へは。あれにめしてむかふ
じまへのき給へそれ〳〵女ばう御共せよ。我はあとにとゝまりて。おつてを■入おつ付べし。人々
聞是ざいわい。して其方ふねなくて何としておつ付へし。もとゟあまの事なればうみへ入て
参るべしと人〳〵をふねにのせこぎいたせは。さわ今【?】にて心やすけれと。長五郎たゞ一人ひぜんの