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コレクション: STAGE1

箱根温泉誌 全 - 翻刻

箱根温泉誌 全 - ページ 15

ページ: 15

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なり然(さ)れば此|温泉(いでゆ)の霊(れい)ある事|言(い)でも自(おの)づから知(しら) ぬべし近(ちか)き世界(せかい)に湯井(ゆゐ)多(おほ)しと雖(いへど)も此(この)所(ところ)始(はじ)め遠(とほ)く 久(ひさ)しきによりて此里(このさと)を湯本(ゆもと)といひ山を湯坂(ゆさか)と云(いふ) 彼(かの)津(つ)の國(くに)の有馬(ありま)の温泉(おんせん)は三輪(みわ)の神垣(かみがき)神(かみ)さびて医(い) 王(わう)善逝(ぜんせい)の勝地(しようち)なり此國(このくに)の湯本(ゆもと)の湯(ゆ)は白山権現(はくさんごんげん)の 垂跡(すゐせき)観音(くわんのん)応験(おうけん)の霊区(れいく)共によく青人草(あほひとくさ)の枯葉(かれは)を蘇(よみ) 生(かへ)らしめて豊葦原(とよあしはら)の水穂(みづほ)の國(くに)に其|験(しる)しを照(てら)し月(つき) 日(ひ)の光(ひか)りの空(そら)に通(かよ)ひたる様(ゆう)に等(ひと)しく称(しょう)する所(ところ)な り彼|驪山(りさん)の温泉(おんせん)は秦皇(しんわう)の瘡(かさ)を洗(あらは)しめんとて神女(しんじょ) の出(いで)けるよし言伝(いひつた)ふ例(ため)しは彼國(かのくに)のみにあらざり き且(かつ)又いざなぎの尊(みこと)は日々ちにうへあまりいを 産(うみ)給ひて生育(せいいく)を業(わざ)とし給ふ陽徳(やうとく)の神(かみ)にて座(いま)せり 観音(くわんおん)は慈眼(じがん)をもて衆生(しゅじゅう)を見給ひて幸(さいは)ひ寿(ことぶ)きの海(うみ) 浅(あさ)からず量(はか)りなし神徳(しんとく)は温泉(いでゆ)の流(なが)れの澄(すま)ん限(かぎ)り 千々(ちゝ)萬々歳(ばん〳〵ざい)|尽(つき)ずまじとあれば誰(たれ)が仰(あほ)ぎ尊(たつと)ませざ らん永録(えいろく)二とせ霜月(しもつき)後(のち)の三日|洛陽(らくゆう)の隠何某(ゐんなにかし)の望(のぞ) みに応(おう)じて新玉津嶋(しんたまつしま)の七|松子(しゆうし)筆(ふで)を取て記(しる)す  ○湯本(ゆもと)より各地(かくち)への里程(りてい)    小田原へ 一里廿丁   畑 宿へ  一里十二丁    箱 根 へ  三里   三 島へ  六里三十丁    東 京 へ 二十二里   塔の澤へ  四丁三十間    宮の下へ  一里八丁  底 倉 へ 一リ 十丁