翻刻
にや参(まゐ)りがないと。慾(よく)て丸(まろ)めた防(ぼう)さんもあろ。
ことに|病人(びょうにん)|祈祷(きとう)のために。|狐狸(きつねたぬき)をお先(さき)につか
ひ。|他宗(たしゅう)そしりて|我宗(わがしう)|自慢(じまん)。あまり教(をしえ)が
|片意地(からいぢ)ゆゑに。広(ひろ)い|浮世(うきよ)を|小狭(こせま)にくらす。
佛(ほとけ)ぎらいの|神道者(しんとうじや)にも。|和学(わがく)|神学(しんがく)|六根(ろっこん)
|清浄(しやう〴〵)ばらひ給へと|家財(かざい)を拂(はら)ひ清(きよ)め給へと
|身上(しんしやう)あらひ。口(くち)の|不浄(ふじやう)は穢(けがれ)たものを。喰(くは)ず
飲(のま)ねばいひ訳たてど。胸(むね)と心(こころ)は只(たヾ)もろ〳〵の。
慾(よく)と悪(あく)との|不浄(ふじやう)で染(そむ)る。|禰宜(ねぎ)の|社人(しゃにん)の
|神主(かんぬし)などヽ。神(かみ)の|給事(きうじ)と身(み)は高(たか)ぶれど。富(とみ)
をするやら|操歌舞伎(あやつりかぶき)。咄(はなし)あつめて|山事(やまごと)
はがり。|祈祷(きとう)|神楽(かぐら)も銭(ぜに)から極(き)める。それが
|神慮(しんりよ)に叶(かな)ふかしらん。まだも憎(にく)ひは医(ゐ)
|者衆(しやしゆ)のなかに|隣村(となりむら)へも|馬駕籠(うまかご)などて