翻刻
【左丁】
善悪邪正(ぜんあくじやしやう)はかたちとかげ絵(え)のごとし 人面(にんめん)のかげゑに獣身(じうしん)なるものあり
菩薩(ぼさつ)のかけゑに夜叉(やしや)なるものあり人に
してそのかげゑ犬(いぬ)あり蛇(じや)ありせきぞろ
のかげゑたちまち万歳(まんさい)とへんずるを
もつてくはうゐんのはやくすくるを
さとるべしくづのはのかげゑすみ
やかにきつねと化(け)するをもつて
美女(びじよ)の人をまどはす
をおもふべし
天道(てんとう)の
あきらかなるともしびをもつて
てらしうつすときんば人げんばんじの
異形(いぎやう)をあらはすべし豈(あに)おそれ
つゝしまざらんや
寛政十戊午年春日
京伝子戯述