東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: 学校教材発掘プロジェクト 1

伊勢物語 - 翻刻

伊勢物語 - ページ 28

ページ: 28

翻刻

【右丁】 さのみるに。くつは取てをくになげ入てのぼりぬかくかたはにしつゝ有わ たるに。身もいたづらに成ぬべければつゐにほろびぬべしとて。此男いかに せん。わがかゝる心やめ給へと。仏神(ふつじん)にも申けれど。いやまさりにのみ覚(おほ)えつゝ 猶わりなくこひしうのみおぼへければ。をんやうしかんなきよびてこひ せしといふ。はらへのぐしてなんいきける。はらへけるまゝに。いとゞかなし き事 数(かす)まさりて。有しよりげにこひしくのみをほへければ   こひせしとみたらし川にせしみそき神はうけずも成にけるかな と。いひてなんいにける 此みかどは。かほかたちよくをはしまして。仏(ほとけ)の御名を。御心に入て。御 こゑはいとたうとくて申給ふをきゝて。女はいとふなきけり。かゝる 君につかうまつらで。すぐせつたなくかなしき事。此男にほだされてとて なんなきける。かゝるほどに。みかど聞しめし付て。此男をばながしつか はしてければ。此女のいとこの宮す所。女をはまる【ママ】てさせて蔵にこめてしほり給ふけれは蔵          こもりてなく 【左丁 挿絵】