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第三章 第二節 用地買収 一三六
昭和四年五月初旬、寶飯郡牛久保町関係地主諸氏を歴訪して交渉の第一歩を進め、
後日更に現地に就き懇談せんことを約す。然れども現地に於ける交渉も未だ局を結
ぶ能はずして其儘延期さる。転じて下地町関係地主会を下地町役場に開催したるに、
其の内一名を除き皆今後の耕地保障上の利を慮りて交渉は極めて順調に進めり。仍
て買収係員は各地主宅を歴訪し市の坪価一反歩三百円を以て承諾を求め、不承諾者
は一人のみとなるに至れり。
次で更に下川村方面の交渉に移り、主なる地主を訪問し大に力説交渉したるが市
の坪価一反歩三百円とは頗る距離あり。其の後現地実情視察の際五井区長の斡旋に
より区内の協議決定を希望し置きたるが、此間牛久保町地主との交渉は開始以来二
ヶ月を経過して猶著しき進捗を見ず。
茲に於て牛久保ちょう町長に依頼して、その応援を得たると、買収係員亦折からの炎暑を
冒して東奔西走したる結果、遂に遠隔の地に住める一人の外は悉く調印せり。但し此
一人も其後市書記出張の際、埼玉県浦和町の住宅を訪ね多少の条件を附して承諾せ
しむ。次いで未承諾者も亦調印し、更に五井区長の盡力効を奏して管理者下川村長そ
の承諾書を納むるに至れり。交渉開始より約半歳に亘る成績左の如し。
寄付坪数 貳百六拾九坪
寄付者氏名 平尾家一 平尾鹿之助 淺岡光郎 内藤隆治
買収坪数 壹千百貳拾七坪 金額壹千百貳拾七圓
水源集水埋渠防護用地買収
水源の生命に密接なる関係を有する此用地買収は、昭和四年八月下旬に着手せし
が、下地町、牛久保町の主なる地主の要求一反歩百円に対して、市は五拾圓を唱へ、若し
全員承諾せば或は六拾圓に譲歩せんとす。時に下川村長の斡旋により、五井区長暮川
区長と会見し、今後市は一反歩六拾圓とすべきを以て他の地主説得方を希望せり。越
えて九月中間、助役に会見し地主の意向を徴せしに、十名の地主中三名は支障なかり
しも、曩に買収せし十坪以内の三角地を草生の儘に放置せず拂下か整地かの要求あ
りしかば、夫々処置の上更に此際歩当り貳拾銭乃至貳拾五銭の譲歩により調印纏め
方を村長に依頼せり。然るに本用地は、結局十一月迄豊川砂利採取株式会社と砂利採
取の契約あれば、会社に於て転売差支なき旨を明にせば調印すべしとのことなりし
を以て、直に手続きを履行したるに、更に送水管路構築の際に於ける耕地の損害補償を
第三章 第二節 用地買収 一三七