翻刻
《題:《割書:大地震|大津浪》大功記十段目《割書:秡| 文| 句》》
しあん投首(なけくび) つなみては船【破船】
した 荷(に)主
おもひをくこと よういして
さらになし ばんばへ出た人
早本国へ 遠まてつなみ
引とり給へ の噂(うはさ)聞人
あはやと見やる ふる家急に
表(をもて)口数ケ所の手 疵(きす) 宿かへする人
顕(あら)はれ出(いて)たる まいはん【毎晩】
西に黒雲
ぬき足(あし) へたり掛たる家へ
さし足 着物取に這入人
わつと玉(たま)ぎる 地(ち)しん最中産(さいちうさん)
女のなき声(こゑ)【聲】 の気(け)の付(つい)た人
聞(きこ)ゆるもの音(おと) 大道(だいだう) 畳敷(たゝみしい)て
こゝろえたりと 内にゐる人
互(たかい)の身(み)の 注文物船(ちうもんものふね)へ
しあはせ つまなんた人
水あげかねし 大地しん
風(ふ)ぜいにて 藏仲仕(くらなかし)
末世(まつせ)の記録(きろく)に 大黒(たいこく)ばしへ
のこしてたべ つまつた船
操(みさほ)の鏡(かゞみ) 住よしの浜(はま)【濱】
くもりなき つなみなし
【下段】
他家へ縁付 大はそんした
して下され 家ぬし
詞はゆるかぬ 大坂の
大はん石 御城
しるしは目前 家ちんの
これを見よ やすい古家
追〳〵都へ 諸国よりの
はせのほる 見舞状
高名手がらを 普請方
見るやうな
我(われ)又 孫呉(そんご)が 大道へ素人細工の
秘術をつくし 小家たてる人
とかふ言内 かんばん出した
時こくが延る 道頓堀の芝居
まだ祝言の 地しんて
さかつきを 延(のひ)たこん礼
あたりまば 下やしきへ逃(にげ)る
ゆき出立は 北辺の御寮人(これうにん)
行方しらす 津なみて
なりにけり おちた橋〳〵
さやうなれは 明地【あきち】のある所へ
御遠慮なし とまりに行人
めでたい〳〵 家内に
けがのないの