翻刻
さてもこのあふきを御かとゑひらんまし〳〵て
めしをかれけるあるときほうわう中しやうに此
あふきをたひにけりちう将このあふきをつく〳〵
とみていかなる人をえしかみて此女はうをかき
たるらんいかなるさたひらなれはおほくの人をみし
かともこのゑににたる人もなしにんけんとしやう
をうけなんしの身とうまれなはかやうの人に
ちきりをこめ一夜なりともなれこそめてこそ
世にあるかひとも有へきにとおほしめすよりも
恋となるこそかなしけれ百二日とすき給ふ程に
さらにゆみつをたにものみたまはすちゝはゝこれをは
しらすしていかなる心やらんとてきそうかうそう
をしやうし大ほうひほうをつくし給へともさらに
そのかひこそなかりけれ御かとも御心くるしく
おほしめしてさま〳〵の御くわんともたてさせ
給ふこそ有かたき事ともなりと人々申あへり
されともそのしるしもなかりけりおちおほい殿
中しやうをつく〳〵と御覧してこれはいかさま
たゝのやまうにてはなしよしなき人を一め見て
かなはぬ恋となり給ふへしたとひぬしある人なり
とも人をたすくるならひなれは昔も今もれい
おなしなとかなはてさふらふへき心中をのこしたま