翻刻
【右丁】
一種 特生(とくせい)の物(もの)
形状(かたち)たくりいちこに
似(に)てきれこみありて
鋸歯(かゝり)あり
【左丁】
一種 なわしろいちこ 《振り仮名:𧂭田藨|たうてんびやう》【注】
わせいちこ みつはいちこ
あしくだし
山野に多し宿根(ふるね)よりも
生す葉は一枝三葉にて稍(やゝ)
蛇苺(しやも)《割書:へひい|ちこ》に似て硬(かた)く大なり
春月 五弁(いつへら)の白花を開き
実を結(むす)ふ五尖(こせん)の蒂(うてな)ありて
中に桑椹(さうじん)《割書:くわ|のみ》に似て小に
赤色(あかいろ)なる子(み)あり茎蔓(くきつる)の
如(こと)く剌(とけ)【刺の誤ヵ】あり処々 根(ね)を生(せう)
す此(これ)時珍(じちん)説(とく)処(ところ)の𧂭(とう)【注】
田藨(てんひやう)なり
【左丁 版心の中央部に記載あり】
なわしろいちこ
【注 𧂭は薅(こう(かう))の誤ヵ。『日本国語大辞典 精選版』(小学館)の「なわしろいちご」の項に「𧂭田藨を当てるのは誤用」と有り。】