← 前のページ
ページ 19 / 156
次のページ →
翻刻
こゑなせそかやうのたひねはかる〳〵しきやう【注①】に人も
とりなすへしとの給ふあるやうあるへしと心えてう
け給はりてたちぬさてみちいとたと〳〵しけれは
このわたりにやと【宿】かり侍るおなしうは【注②】このみす【御簾】のもとに
ゆるされあらなむあさり【阿闍梨】のおるゝほとまてなむと
つれなく【注③】の給ふれゐはなかゐ【長居】してあされはみ【注④】たる
けしきも見え給はぬをうたてもあるかなと宮おほ
せとことさらめきて【注⑤】かるらかにはひわたり【注⑥】給はんも
さまあしき心ちしてたゝをと【音】せでおはしますにと
かくきこえよりて御せうそこきこえつたへにゐさり
【注① 軽率な感じに。】
【注② 同じことなら】
【注③ さりげなく。】
【注④ あざればむ=男女の間で、たしなみに外れた様子をする。】
【注⑤ わざとらしくする。】
【注⑥ 歩いて行く。】