翻刻
今茲(ことし)麻疹(はしか)の流行(りうかう)諸国(しよこく)同(おな)じ少壮(せうさう)の男女(なんによ)脱(まぬが)るゝは尠(すくな)し
疾病(やまひ)は医(い)の療薬(れうやく)に在(あれ)ど養生(やうじやう)疎(そ)なれば其効(そのこう)見えず
壮少(さうせう)の人(ひと)は殊(こと)に養生(やうじやう)の道(みち)を知(し)らず食禁(しよくきん)に於(おい)て
も各自(かくず)の見識(けん き)に出(いで)て一 様(やう)ならねば惑易(まどひやす)し確実(たしか)
なる説(せつ)を記(しる)し遠近(ゑんきん)に刊布(かんふ)せば世の稗益(ひえき)にもな
らましと数書(しよしよ)の卓論(たくろん)を俗語(ぞくご)にもて一小冊(いつせうさつ)を綴(つゞ)り
書屋(しよし)に与(あた)へて上梓(はんこう)せしめ終(つい)におほやけにする事
とはなりぬ
麻疹養生鑑 (印)厚斎老人旧考
東都 隅田叟斎述
・麻疹(はしか)古(ふるく)は乃解具佐(のげぐさ)といふ乃解(のげ)は稲麦(いねむぎ)等(とう)の穂(ほ)の先(さき)の
毛(け)なり具佐(ぐさ)はかさといふに同(おな)じく瘡(できもの)をいふのげの皮(は)
膚(だへ)につきて癬(かゆき)に比(たと)へたるなり
・又(また)赤痘(あかもがさ)と云(いふ)もがさは芋瘡(いもかさ)にて疱瘡(はうさう)也《割書:痘(あと)疫をいもと|いふにてしるべし》
麻疹(はしか)は痘(もがさ)に似(に)て殊(こと)に赤(あか)きゆへかくいふなるべし
・今はしかといふも乃解具佐(けぐさ)といふに同(おな)じくサラ〳〵と