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のごとき。深編笠(ふかあみがさ)に顔(かほ)かくし。雲(くも)に稲妻(いなづま)の衣服(いふく)着(き)たる侍(さむらい)五人。一
様(やう)に打扮(いてたち)て。頃日(このごろ)かはる〴〵此(この)曲中(くるは)に往来(わうらい)す。そのうち一人はまことの
伴(ばん)左衛門なるべしといへば。鹿蔵(しかぞう)これを聞(きゝ)。五人の者(もの)一人は伴(ばん)左衛門にて。
残(のこ)る四人は。藻屑三平(もくすのさんへい)。笹野(さゝの)蟹蔵(がいぞう)。土子(つちこ)泥助(でいすけ)。犬上(いぬがみ)雁八(がんはち)といふ者(もの)に疑(うたかひ)
なし。皆(みな)助太刀(すけだち)して三郎左衛門どのを打(うち)たる者(もの)ども也。正(まさに)是(これ)天(てん)の与(あた)へ
なりと喜(よろこ)び。壁(かべ)に耳あり垣(かき)にぬひめありといへば。此(この)所(ところ)にて長物語(ながものがたり)は
あしからん。かさねて又 相(あい)まみえ申さんといひて立上(たちあが)れば。葛城(かつらき)袖(そで)にすが
り。今(いま)いひしことくれ〴〵たのむとありければ。鹿蔵(しかぞう)うなづき。又 編笠(あみがさ)に
顔(かほ)かくして出(いで)ゆけば。葛城(かつらき)は神林(かんばやし)が家(いへ)にかへりぬ
巻之五上冊終