翻刻
其内殿方と思ふ御方は輿に乗り輿も朱塗にて
結構に見へ申候供之衆大方は馬に乗り申候往来の町人
屋敷物脇差はものとふは指不申候馬にて通り申候
兎かく馬は沢山に御座候私共も折々は馬に乗り申候
私共三人の先へ絹に何やら字を書付壱本立て
候て通り申候是も二三日程ツヽ宿々にて休足の内見物
人多く来り迷惑仕候女中方は可笑ふ■にて御座候奥方は
殊之外やさしくみへ申候大方金襴の着ものひどん
すの金模様にて御座候乗物も日本と違ひ大きさ八尺
四方の箱にて朱塗墨塗或は高荷絵にて御座候格子
は水晶のようふに見へ申候何方にても笑われ候
にはこまり申候道中も不残見物人通り愈申候
南京迄参り候道筋川船にて五十里程ツヽ乗り候所も
沢山に御座候又は二三十里程ヅヽ乗り候所拾ケ所何れも
結構に塗候船にて御座候屋根も有之四方えひどんすの
幕を打申候南京殊之外大き成所にて万ケ一も見