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頼(より)の計(はか)らひとして。悉(こと〴〵)く死罪一等(しざいいつとう)を減(けん)じ。諸所(しよ〳〵)へ遠島流罪(ゑんとうるざい)せられ。
叛逆(はんぎやく)の張本(てうぼん)たる。光時入道蓮心(みつときにうどうれんしん)をも。同(おな)じく死罪(しざい)を宥免(さしゆる)し。伊豆(いづ)の国(くに)へ
配流(はいる)なし。光時(みつとき)が舎弟(しやてい)尾張守時章(おはりのかみときあきら)は。元(もと)より謙退(けんたい)辞譲(じじやう)の性質(せいしつ)。
にて。光時(みつとき)が野心(やしん)に。組(くみ)すべきならざるを。時頼(ときより)兼(かね)てしるがゆゑ。名越(なごし)の家(か)
督(とく)相続(さうぞく)なさしめ。諸領(しよれう)所帯(しよたい)こと〴〵く。時章(ときあきら)に下(くだ)し給ふ。されば反逆(ほんぎやく)の従類(じゆうるい)
は。枝葉(しえう)を枯(か)らす先言(せんげん)も。罪(つみ)を憎(にくん)で人(ひと)を憎(にくま)ざる。時頼(ときより)の仁慈(じんじ)。又(また)其(その)行状(けうでう)の
正路(せうろ)を挙(あげ)て。逆臣(ぎやくしん)の弟(おと〳〵)【おとゝヵ】たる。時章(ときあきら)に家督(かとく)なさしめ。かゝる騒乱(さうどう)に。死罪(しざい)一人も
行(おこな)ひ給はざるは有難(ありがた)かりつる裁断(さいだん)也。又(また)日来(ひごろ)荷胆(かたん)の輩(ともがら)の。こと〴〵く離(はな)れ従(したが)はざ
るは。太宰少弐(だざいのせうに)と接話(せつは)の始末(しまつ)。忽(たちま)ち巷街(ちまた)に噂(うはさ)高(たか)く。荷担(かたん)の者(もの)もこれを聞(きゝ)き。
忽(たちまち)約(やく)をそむき。徒党(ととう)するものなかりしは。実(げに)有道(ゆうたう)の君子(くんし)ともいふべし。
参考北條時頼記巻弐畢