Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 106

ページ: 106

翻刻

失(うせ)てわづか十五六人ぞしたがひける。光時(みつとき)は惘然(ぼうぜん)として。年月(としつき)の千慮(せんりよ)忽(たちまち)に 砕(くだけ)て。今(いま)は我身(わがみ)の置処(おきどころ)さへなき心地(こゝち)して。是非(ぜひ)なく髻(もとゞり)を押切(をしきつ)て。某(それがし)更(さら) に一族(いちぞく)として。北条家(ほうでうけ)に叛心(はんしん)なし。しかるに何者(なにもの)か某(それがし)に。隠謀(ゐんぼう)ありと罵(のゝしつ)て。 けふの騒動(さうどう)におよぶ事(こと)。時(とき)に取(とつ)て申/開(ひら)きがたし。故(ゆへ)に即日(そくじつ)武門(ぶもん)を棄(すて)て。 仏門(ぶつもん)に帰入(きにう)す。こゝを以て我(わが)赤心(せきぢん)を察(さつし)給へと。実(まこと)しやかに誓紙(せいし)を書(かい)て。 法名蓮心(ほうめうれんしん)と墨(すみ)ぐろに記(しる)し。彼(かの)切髪(きりかみ)をそえて。時頼(ときより)におくる。時頼(ときより)は空(そら) 誓紙(せいし)なるを知(しる)といへども。一門(いちもん)の貴士(きし)に何(なに)の疑(うたが)ひかあらん。しかれども人口(しんこう)黙止(もだし) がたければ。暫(しばら)く事(こと)の穏(おたやか)ならんまては。秋田城介義景(あきたじやうのすけよしかげ)かもとに。蟄(ちつ)せらるべしと 申/送(おく)り。義景(よしかげ)より迎(むか)ひの武士(ぶし)を遣(つか)はし。囚人(めしうと)の作法(さはふ)にて。義景(よしかげ)預(あづか)り。 一室(いつしつ)に篭置(こめおかれ)たり。但馬前司定員(たじまのぜんじさだかず)。同/嫡子定範(ちやくしさだのり)も。一味(いちみ)同心(どうしん)なした るを。誰(たれ)とがめねど落髪(らくはつ)して。おめ〳〵と罪(つみ)を宥(なだ)められん事(こと)を乞(こ)ふと いへども。暫(しばら)く館内(くはんない)に篭(こめ)おき。与力(よりき)の輩(ともがら)爰(こゝ)かしこより。探出(さくりいだ)されしを。時(とき)