Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 144

ページ: 144

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相述(あいのぶ)れば。泰村(やすむら)額(ひたひ)に汗(あせ)して答(こたへ)けるは。貴命(きめい)のごとく此頃(このころ)世(せじやう)に物忩(ぶつさう)の事(こと)は 泰村(やすむら)が身(み)の不運(ふうん)と覚(おぼ)えたり。其(その)所以(わけ)は。某(それがし)兄弟(けうたい)。いづれも他門(たもん)の宿老(しゆくらう)に 超(こえ)て。朝散大夫(てうさんだいぶ)を辱(かたじけの)ふし。其外(そのほか)一族(いちぞく)に於(おゐ)ても。多(おほ)く官位(くはんゐ)を帯(たい)し。守(しゆ) 護職(ごしよく)数(す)ヶ(か)国(こく)。荘園(さうゑん)数千町(すせんてう)を賜(たまは)り。君恩(くんおん)身(み)にあまり。三浦(みうらの)一家(いちか)の栄(さか)え こゝに極(きは)む。彼(かの)喬木(けうぼく)風(かぜ)に折(をら)るゝ古語(こご)のごとく。他門(たもん)の讒訴(ざんそ)屢(しは〴〵)なるがゆへ。北条(ほうてう) 氏族(しぞく)もこれをいかり。無冤(むじつ)の三浦(みうら)を斃(ほろぼ)し給はん計謀(ぼうけい)ありなんと。予(よ)が一門(いちもん)又は 郎従(ろうどう)。彼方(かなた)爰方(こなた)にて承(うけたまは)るが故(ゆへ)。拠(よんどころ)なく防禦(ばうぎよ)の備(そなへ)をなせし也。仰越(おほせこさ)るゝ執(しつ) 権(けん)の心底(しんてい)ならんには。何(なに)を以(もつ)てか兵革(へいかく)を動(うご)かさん哉(や)。しかれども一旦(いつたん)事(こと)を宥(なだ) め置(おか)れ。事(こと)不意(ふい)に起(おこつ)て絶根(ぜつこん)の計策(けいさく)もや候はん。氏信(うじのぶ)大(おほひ)に笑(わら)ひて。こは 泰村主(やすむらぬし)とも覚(おぼ)えざる一言(いちごん)。時頼公(ときよりかう)の親睦(しんぼく)の厚(あつ)き事(こと)は。申までもなく兼(かね) て知(しり)給ふごとし。尤(もつとも)一旦(いつたん)の計策(けいさく)にて。其虚(そのきよ)を討(うた)んは。これ戦国(せんごく)の習(なら)ひなれど。 今(いま)泰平(たいへい)の御代(みよ)といひ。殊更(ことさら)一門(いちもん)の御中(おんなか)にて。何条(なんでう)後難(かうなん)を疑(うたが)ひ給ふべけん