Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 151

ページ: 151

翻刻

帰(かへ)らるゝこそ不覚(ふかく)なれと言出(いひいだ)しければ。正泰(まさやす)これを聞(きゝ)て思ふやう。われ 一/旦(たん)泰村(やすむら)に与力(よりき)せし上は。たとへ本国に帰(かへ)りたりとも。再(ふたゝ)び三浦を征(せい)さんには やはか安穏(あんおん)なるべきや。不如(しかず)泰村(やすむら)と死生(しやうし)を供(とも)にせんにはと。中途(ちうと)より引/返(かへ)し 三浦(みうら)が館(やかた)に入て。泰村等(やすむらら)に其/旨趣(しゆゐ)を告(つ)げ。再(ふたゝ)ひ防禦(ばうぎよ)の備(そなへ)をなす。 これを見るより鎌倉中(かまくらぢう)又(また)忩々敷(さふ〴〵しく)。北条亭(ほうてうてい)を守護(しゆご)する輩(ともがら)。東西(とうざい)に 奔走(ほんさう)す。爰(こゝ)に毛利(もうり)左衛門/尉(てう)正治(まさはる)は。時頼(ときより)とは其(その)親(した)しみ厚(あつ)しといへども。 今度(このたび)の動乱(とうらん)に。始(はじめ)より北条亭(ほうてうてい)へ馳参(はせまゐ)らず。只(たゝ)士卒(しそつ)には武具(ぶぐ)を着(ちやく)させ。 己(おの)が宿所(しゆくしよ)を厳(きび)しく守(まも)り。鎮(しつま)り返(かへ)つて居(ゐ)たりける。其(その)所以(わけ)いかにといふに正治(まさはる) が室(しつ)は。則(すなはち)三浦泰村(みうらやすむら)が妹(いもをと)にて。容顔(ようがん)ことに美麗(びれい)なりしを。正治(まさはる)曽(かつ)て 垣間見(かいまみ)て。さま〴〵と心(こゝろ)を砕(くた)き。終(つゐ)に妻(つま)とせしものから。比翼連理(ひよくれんり)は物(もの) かは其間(そのあいだ)には水(みづ)さへ洩(もら)さじと契(ちぎり)しより。北条(ほうでう)へ加胆(かたん)すれば三浦(みうら)へ信(しん)なく 泰村(やすむら)に与力(よりき)すれば北條(ほうでう)へ義(き)を失(うしな)ふ。故(かるかゆへ)に双方(さうほう)へ与力(よりき)せずして居たり