Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 162

ページ: 162

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左右(さゆう)にふり。泪(なみだ)をさへ流(なが)して答(こた)へず。伊沢(いざは)しきりに其故(そのゆゑ)を問(と)ふに。女(をんな)は袖(そで)以(も) て涙(なみだ)を押(おさ)へ。君(きみ)が心(こゝろ)いよ〳〵浅(あさ)し。妾(せう)は富貴(ふうき)を尊(たつと)しとせず。君(きみ)不聞哉(きかずや)。女(をんな)は 其(その)媚(こび)らるゝ人(ひと)の為(ため)に容(かたちづくり)すと。たとへ匹婦匹夫(ひつふひつふ)たりとも。心(こゝろ)隈(くま)なく思(おも)ひ隔(へだて)なき をこそ。女(をんな)の本意(ほゐ)とは做(なす)べけれ。されば富貴(ふうき)栄耀(ゑいよう)を以(も)て。妾(せう)が心(こゝろ)を率(ひき)給(たまふ)は 皆(みな)偽(いつはり)の証(しるし)とせん。伊沢(いざは)これを聞(き)き憤然(ふんぜん)とし。左らは秘中(ひちう)の秘(ひ)なれ共(ども) 汝(なんぢ)を思(おも)ふの切(せつ)なるを。知(し)らせんが為(た)めかたり聞(きか)せん。必(かならず)人(ひと)にな洩(もら)し給ひそ。抑(そも〳〵)我(わが) 党(とう)の母屋(おもや)たる。三浦前司泰村(みうらのせんじやすむら)。先将軍(せんせうぐん)に憑(たのま)れ奉(たてまつ)り。かね〳〵陰謀(いんばう)を なすといへども。不幸(ふこう)にして其機(そのき)を暁(さと)られ。已(すで)に対戦(たいせん)なさんとせしに。時頼(ときより) 愚昧(ぐまい)にしてこれを知(し)らず。却(かへつ)て誓詞(せいし)さま〴〵和平(わへい)を乞(こ)ふ。故(かるがゆへ)にこれを 幸(さいはい)とし。随従(ずいじう)の色(いろ)を見するといへども。今にも時(とき)を得(え)なば北条(ほうでう)を亡(ほろほ)し。先将(せんせう) 軍(ぐん)を御代(みよ)に出(いだ)し。泰村(やすむら)執権(しつけん)たらんとす。さあらんには某(それがし)も。武名(ぶめい)を天下(てんかに)顕(あら)はす ほどの。合戦(かせん)に分捕(ぶんとり)高名(かうめ)なして。官禄(くはんろく)心(こゝろ)のまゝに得(え)ん事(こと)は。この掌(たなごゝろ)のうちに