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潔(いさぎよ)く生害(しやうがい)なし。前代(ぜんだい)の恩(おん)を謝(しや)し奉(たてまつ)り。後代(こうだい)の巻(まき)を残(のこ)さんと諫(いさめ)ければ。
泰村(やすむら)以下(いか)尤(もつとも)と同(どう)じ。諏訪入道(すはにうだう)がかためたる。北(きた)の方(かた)を打破(うちやぶ)り。難(なん)なく法華(ほつけ)
堂(だう)へ引籠(ひきこも)る。舎弟(しやてい)能登守光村(のとのかみみつむら)は。永福寺(ゑいふくじ)に陣(ぢん)を取(とり)。士卒(しそつ)を下知(げち)して。
居(ゐ)たりしが。此由(このよし)を聞(きく)と等(ひと)しく。左(さ)あらば法華堂(ほつけだう)にいたらんと。手勢(てせい)八千余
騎(き)を真円(まんまる)に備(そな)へ。鬨(どつ)と喚(おめい)て突(つい)て出(いで)。向(むか)ふ敵兵(てきへい)をうち破(やぶ)り。法花堂(ほつけだう)に至(いた)
りしかば。須波(すは)や三浦(みうら)の一類(いちるい)。落失(おちうせ)るぞと呼(よばゝ)るより。数千(すせん)の軍兵(ぐんびやう)跡(あと)に
付(つい)て押来(おしきた)り。法花堂(ほつけだう)を十重廿重(とえはたへ)に囲(かこ)み。我(われ)討(うち)入らんと鬩(ひしめ)く処(ところ)を。三(み)
浦(うら)が郎等(らうとう)白川(しらかは)七郎/同(おなじく)十郎。岡本(おかもと)次郎/埴生(はにふ)小太郎。其外(そのほか)屈強(くけう)の従(じう)
卒等(そつら)。死(し)を究(きは)めて防(ふせ)ぎければ。寄手(よせで)これに辟易(へきゑき)し。攻口(せめぐち)少(すこ)し引退(ひきしりぞ)く。され
ども外(ほか)に援兵(ゑんへい)なく。今朝(こんてう)よりの戦(たゝかひ)に。大小(だいせう)の手疵(てきず)負(おは)ざるはなく。心計(こゝろばかり)は剛(ごう)なれ
ども。或(あるひ)は討(うた)れ又はさし違(ちが)ふ。三浦前司泰村(みうらのぜんじやすむら)。舎弟(しやてい)光村(みつむら)。毛利入道西(もりにうだうさい)
阿(あ)。大隅前司重隆(おほすみせんじしげたか)。美作前司時綱(みまさかのせんじときつな)。甲斐前司實章(かひのせんじさねふさ)。関(せき)左衛門尉