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しかば時頼(ときより)言下(ごんか)に契悟(けいご)し。二十年来(にじうねんらい)旦暮(たんぼ)の望(のぞ)み満足(まんぞく)すと。九拝(きうはい)
歓喜(くはんき)せらる。斯(かく)仏法(ぶつはふ)に志(こゝろさし)厚(あつ)かりしかば。今(いま)天下国家(てんかこくか)幸(さいわい)に穏(おだやか)にして
万民(ばんみん)徳(とく)を厚(あつ)ふするの時(とき)。此(この)折柄(をりから)に遁世(よをのかれ)ずんば。いづの時(とき)をか期(ご)すべきと。
則(すなはち)執権(しつけん)致仕(ちし)の表(ひやう)を捧(さゝげ)て。康元(かうげん)元年十一月廿三日。内山(うちやま)最明寺(さいめうじ)に
て出家(しゆつけ)し給ひ。法名(ほうめう)覚了房道崇(がれうばうどうそう)と号(がう)しける。生齢(とし)いまだ三十/歳(さい)。
日頃(ひごろ)の素懐(そくはい)は■【とヵ】げ給へども。武門(ぶもん)の人々(ひと〳〵)は更(さら)なり。怪(あやし)の民間(みんか?)にいたるまで。
惜(おし)まぬ人(ひと)はなかりけり。執権職(しつけんしよく)は武蔵守長時(むさしのかみながとき)に譲(ゆず)らせらるといへども
猶(なほ)も国家(こくか)静謐(せいひつ)の政事(せいじ)を聞(きゝ)て。人民(じんみん)安穏(あんをん)の仁徳(しんとく)を。心(こゝろ)に込(こめ)られた
まふは。最(いと)有難(ありがた)き御/事(こと)なり
諏訪刑部入道(すはきやぶにうだう)害(かいする)_二伊具(いぐを)_一話(こと)
正嘉(せうか)元(くはん)年二月廿七日。前相模守時頼入道(さきのさがみのかみときよりにうどう)が嫡子(ちやくし)正壽丸(せうじゆまる)。いまだ七
歳(さい)なりといへども。父(ちゝ)時頼(ときより)が勤労(きんろう)を慰(い)せんため。将軍(せうくん)の御所(ごしよ)に於(おゐ)て