Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

. Japonais 180-181 - 翻刻

. Japonais 180-181 - ページ 230

ページ: 230

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夜(よ)も更(ふけ)ぬれば時頼(ときより)も寝処(しんぢよ)に入(いり)給ひ。近士等(きんしら)も斧己々(おのれ〳〵)が臥処(ふしど)に入(いれ)ど、何(なに) となく曩時(さき)の狐火(きつねび)に心動(こゝろうご)き。甘寝(うまい)もなさて有(あり)けるに。遥(はるか)に吼々(こう〳〵)と狐(きつね)の 鳴声(なくこへ)聞(きこ)えしかば。須破(すは)また狐火(きつねび)ごさんなれと。面々(めん〳〵)燧(ひうち)を取出(とりだ)し。丁々丁(てう〳〵てう)と と【「と」は衍字ヵ、「今」ヵ】館内(やかたのうち)。喧(かまひす)しきまで打立(うちたつ)れども。原来(もとより)狐火(きつねひ)にはあらで只(たゞ)。狐声(こせい)のみ追々(おい〳〵) 夥(おひたゞ)しく。数百(すひやく)の声々(こへ〴〵)四面(しめん)に聞(きこ)えしかば。侍女等(しぢよら)の狐火(きつねび)に恐怖(けうふ)せし。折(をり)からなれば。 身(み)を縮(ちゝ)め衣被(きぬかづ)き。仏号(ふつごう)を唱(とな)ふる外(ほか)なかりしが。漸(やう〳〵)其夜(そのよ)も八声(やこゑ)の鳥鳴(とりのなく)なへに。 狐声(こせい)は止(やみ)て音(おと)もなし。明仄(ほの〳〵)と明(あく)る翌朝(あした)より。男女(なんによ)互(かたみ)に打寄(うちより)々々(〳〵)宵(よひ)の狐(きつね) 火(び)後(のち)の狐声(こせい)の怪異(けい)。これ徒的(たゞこと)には非(あら)ず。凡(およそ)時(とき)ならず狐(きつね)の鳴(なけ)ば。其家(そのいへ)に必(かならす) 凶事(きようじ)災害(さいかい)ありと聞(きけ)り。是(こ)は水火(すいくは)剣戟(けんげき)の災(わざはひ)あるか。又(また)面々(めん〳〵)の身(み)に凶事(きよじ) ある兆(しるし)なめりと。終日(ひめもす)恐怖(けうふ)の色(いろ)見(み)えけるに其日(そのひ)は何(なに)の怪異(かはり)もあらざりしが 此夜(そのよ)三更(さんかう)の頃(ころ)より。又/吼々(こう〳〵)々々(〳〵)と聞(きこ)ゆると等(ひと)しく。既(すで)に四面(しめん)に喧(かまびす)し。物(もの)に速(はや)る 壮士等(わかとのばら)は。己(おの)が得物(ゑもの)を引提(ひつさげ)々々(〳〵)。声(こへ)を目的(めあて)に打(うつ)といへども。其機(そのき)を察(さつ)して