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条(てう)報光寺(はふくわうし)。最勝園寺(さいしやうおんし)。相州(さうしう)二代(にだひ)天下(てんか)の政道(せいだう)あきらかに。静謐(せいひつ)の世(よ)と
称(たゝ)へしは。亦(また)此(この)藤綱(ふぢつな)が功績(いさをし)なりけり
時頼六斉日殺生禁断話(ときよりろくさいにちせつしやうきんだんのこと)
其頃(そのころ)鎌倉(かまくら)をはじめ。諸国(しよこく)の容(さま)を見(み)るに。士農工商(しのうかうせう)をいはず。貴賤(きせん)を
論(ろん)ぜず。旦暮(たんぼ)殺生(せつしやう)を好(この)みて。猟漁(れうぎよ)の道(みち)を専(もつは)らとし。鷹(たか)を臂(ひぢ)にし。犬(いぬ)を引(ひき)
山(やま)には罠(わな)をかけ。水(みづ)には網(あみ)を布(しい)て。獣鱗(じうりん)を苦(くるし)め。肉(にく)を割(さ)き。生(いける)を殺(ころ)す。鳥(てう)
獣(じゆ)魚甲(きよかう)。それ〳〵に品(しな)を異(こと)にし。形(かたち)は違(たが)ふといへども。生(しやう)を貪(むさぼ)り死(し)を恐(おそ)るゝ事(こと)
彼(かれ)も人(ひと)も皆(みな)同(おな)じ。故(ゆへ)に獣(けもの)は圏(おり)に囚(とらは)れて山林(さんりん)をしたひ。鳥(とり)は籠中(こちう)に
翼(つばさ)を縮(ちゞ)めて雲(くも)をおもふ。これらは只(たゞ)目(め)を喜(よろこば)す迄(まで)にて。生(せう)は断(たゝ)されとも
愁苦(しゆく)せしめ。甚(はなはだ)しきに至(いた)つては。咎(とが)なくして俎上(まないた)に命(めい)を断(た)ち。過(あやま)ちなくして
釜中(ふちう)に煮(に)らる。所謂(いはゆる)十善(ぢうぜん)の内(うち)。命(いのち)を救(すく)ふを専一(せんいち)とし。十悪(ぢうあく)の中(うち)殺生(せつせう)を
最大(さいだい)とす。時頼入道(ときよりにうとう)兼(かね)てこれを歎(なげ)きて。老臣(ろうしん)頭人等(とうにんら)と示(しめ)し合(あはせ)。たとへ