翻刻!草双紙の世界

コレクション: NDL鳥居清長

化物昼寝鼾 2巻 - 翻刻

化物昼寝鼾 2巻 - ページ 3

ページ: 3

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むかし〳〵よりばけ物なかまの そうざかしらみこし入とう みな〳〵てした【手下】の物は 入道のけち【下知】をうけれども おやだまいたつてこふう にてなんてもこれか はやるといふことを しらずてまへも 大しま【大島、大縞:太めの縞模様】のぬのこ まるくけのをひくびを【丸ぐけの帯、首を】 のばしておとすより ほかにしあんもなし さりによつて ばけものしだい〳〵に おとろへつうじんと やぼとは ちやうちんと つりがねほど ちがへともやぼ ばけものと くるしめられ なかまいつ とうにはながひしげ 一寸のむしに五ぶのたましいと やらしごくさんねんに おもひひとそうだん はしめける 人をこはからせるがおいらがしやうはい それにまあばけものぼんは こどもかうれしかるとは どうしたものなんぞよい しゆかうはないか やぐちのわたしといふ ところがきこへませぬ【注1】 【頭がお盆になっている妖怪の台詞】 たいざ【台座、才三にかかっている、注2】 さんといふ ところであたりを とり たい 【全体に汚れと虫食いが多い】 【注1:矢口の渡しはかつて多摩川にあった渡し場で、心霊矢口渡という歌舞伎で有名になった。新田義興が川を渡る際に船頭が舟に穴をあけて自害に追い込んだことで足利尊氏から褒美をせしめたという話なので、ここでは「うまいことやったという噂も聞こえてこない」という意味だろうか。】 【注2:才三は安永四年の『恋娘昔八丈』という人形浄瑠璃に出てくる髪結い才三(さいざ)のこと。転じて若い色男。ここでは杯台のばけものが自分が台座(だいざ)であることと才三をかけて洒落ている。】