翻刻
こゝにあるやまし
江戸にては近年
何もあたりをとら
ずせんかたなく
いなかをかせがん
と江戸を夜
にげにして
とある山道に
かゝりしに日は
くれる心ぼそく
ものさびしき
折からかねて入道は
此所にまちぶせし
て旅人を なやま
さんとかの なまぐさ
き風を ふかせけれ□【ば】
はや
くも見 つけ
なんと せん
せい【先生】見せ
ものに出る気
はないかといわれ
さすがの入道もあきれ
うか〳〵して
【左ページへ】
だきこまれては
たまらずとそう〳〵
にげかへりける
【右ページ下、旅人の台詞】
おやかた
とんだもうかるぞへ
出て見さつせへな
【左ページ】
古ふうたが
もゝんぐはァ
【「ももんがぁ」「ももんじぃ」は化物が人をおどかす時の掛け声】