翻刻
○茶名大略(ちゃのなたいりやく)
珠(チヒ)蘭(ラン)茶(サア)《割書:茶(ちやの)銘(めい)直段(ねだん)|一斤二匁程》松羅茶(ソンロヲサア)《割書:直段一斤|二匁か四匁程》【松蘿茶と同じものか】
武夷茶(ウーイヽサア)《割書:地名(ちめい)直段一斤 ̄ニ付上十二匁|中七匁下三四匁》
竜井茶(ロンツインサア) 地名直段武夷茶 ̄ニ同し
旗創茶(ギヒツヤンサア) 茶名直段武夷茶 ̄ニ同し【原典は旗戧茶。創の異体字】
蓮心茶(レンスインサア) 茶名直段一斤 ̄ニ付三十匁程
寿眉茶(ジウムイサア) 茶名直段竜井茶 ̄ニ同し
紅梅茶(ホンムイサア)茶名直段十二匁程
雀舌(ツヤゼ) 茶(ちや)の細(こまか)きをいふ直段竜井茶 ̄ニ同し
雨前(イヽズイン)《割書:穀雨(こくう)前(まへ)につみとるをいふ青茶(チンサア)といふ|直段上廿四五匁中六七匁程下二三匁程》
総(さう)じて茶は大なる簍(かご)に入て売買(うりかひ)す
旅行(りよこう)又は進物(しんもつ)等(とう)には三十匁五十匁
程(ほど)づゝ入 小簍(こかご)を用ひ或(ある)ひは錫壷(すゞのつぼ)に
入る尤 錫(すゞ)の壷(つぼ)に入て買(かふ)には鑵(すい)の大
小によりて直段(ねだん)高下(こうげ)あり日用(にちよう)の茶は
磁(ツウ)■(ウー)錫瓶(スヰヒン)等(とう)に入おくなり【■壷の■は「右ワ生」を縦に重ねた見た事もない文字で書かれている。壷の異体字か】
○茶煎(ちやせん)じやうは清水(せいすい)を炭火(すみび)にて
能(よく)煮立(にたて)煮上(にえあが)りたるとき水を少(すこ)し
入れ又よく煮立(にたて)茶碗(ちやわん)に茶(ちや)を少し入
其上 滾湯(にえゆ)を茶碗(ちやわん)八 分目(ぶんめ)まで入れ
暫(しばら)く蓋(ふた)をしてすゝむ
○茶摘方(ちやつみかた)製法(せいほう)
三月 穀雨(こくう)の節(せつ)に葉(は)を摘(つみ)とり鉄なべ
にて炒(いり)筵(むしろ)に移し手(て)をもつて揉(もみ)絞(しぼ)り
その後 数扁(すへん)鍋(なべ)にて炒上(いる)茶は大方(おほかた)二十
遍(へん)ほども炒るなり
【珠蘭茶、松羅茶(松蘿茶)、竜井茶、武夷茶(武夷岩茶?)、寿眉茶あたりは今でも聞く中国茶の種類】