翻刻
木を高売して金銀をもふけ莚こも百文に弐枚
草履一そく廿文に売買す小屋の内に親族うち
集り日夜涙悲しむ其上十二月廿二日酉刻ゟ大雨
三日三夜□やちくを流しけれはかり小屋に住ける
者とも寒に雨もり氷りて衣服は古し温方を得へき
食物なけれは女童又は虚弱のもの多凍死病
死せるもの家々に多かりける廿五日より雨やみぬ
明暦年中鳥酉の年の大火事ゟ五十年に当りか
ゝる天火地妖に人多く滅亡する事過去一業
のかんする所也平生心置へき第一也
于時明和五酉秋此書をかり出して写すもの也
五十年六十年に一度宛はかゝる大変も有か天地
変也前車のくつかへるを見てこう後車のいまし
めとす古人いへり如斯の時節に出合ましたきもの
にもあらす遁る事は或へからす只其時の用
意兼而心得火事地震の節うろたへすかねて
心懸るを知恵といふ