翻刻
【右丁】
【上段】
守様 對馬(つしまの)守さま
事は御つゞきのよし
誠(まこと)に〳〵幾(いく)久敷
萬々年御 繁昌(はんじやう)
遊し御 賑々(にぎ〳〵)敷
さまの御事千
秋萬 歳(ぜい)芽出(めで)
たくぞんじ
あげまいらせそうろう
かしく
国盡文章終
【左丁】
【上段】
三夕和哥(さん[せ]きのわか)
寂連法師(じやくれんほうし)
さびしさは
その色とし
も
なかりけり
槙たつ山の
秋の夕ぐれ
西行法師(さいぎやうほうし)
心なき 夕
身にも 暮
哀(あは[れ])は
沢の しられけり
秋の 鴫(しぎ)たつ
藤原定家(ふぢはらのていか)
見わたせば
花も
紅葉も
なかりけり
秋 うらの
の とまやの
ゆふ暮
【下段】
百人一首哥のよみくせ 百人一首《割書:ひやくにんしゆと|つめてよむべし》 天智天皇《割書:てんぢと| にこるべし》
持統天皇《割書:ちとう| すむ也》 山邊赤人やまべとよむ 喜撰法師 ほつしとつめて
陽成院《割書:やうじやういん|りうによりやうぜい》 麻呂いつれもまろとよむ 権中納言 ごんちうとにごる
在原うちにて《割書:は|》はら也 文屋ふんやとすむべし 壬生忠岑《割書:みふとよむ|めい古【所ヵ】にはにごる》
坂上さかのへ也うへといわす 深養父ふかやふとよむ 文屋朝康 ふんやあさやす也
赤染あかそめとにこる 行尊ぎやうそんとにごる 祐子内親王家紀伊(ゆ[う]しな[い]しんのうけきい)とよむ
崇徳院すとくいんなり 天のかぐ山とにごるべし ひとりかもねん《割書:かもを上へ[つ]|けてよむ也》【別本参照】
人にしられてくるよしも《割書:がなと|にごる》 つくはね はねすむべし 有明の月を待いて[つ]【別本参照】るとよむ
月みればちゞに物こそとよむ 人しれずこそ思ひ深しか《割書:かを|すむ》 かたみにそでをしほりつゝ《割書:ほ| すむ》
あふ事のたへてしなく《割書:■しを|上へ付て》 ゑやはいふき いふきといふへし たき川 かわとにこるべし
五ヶの秘哥(ひか)〇人丸の哥〇きせん法師〇あべの中まろ〇みぶの忠みね〇ていかの哥也
【刊記】
寛政八《割書:丙| 辰》初穐吉日
嘉永六《割書:癸| 丑》正月新板
大坂心斎橋通唐物町
書肆 河内屋太助板