翻刻
【右丁】
火炭母草(くわたんほさう)
山足(さんそく)にあり春月 宿根(ふるね)より生す
嫩苗(とんへう)紅色(こうしよく)葉(は)は蓼(たで)に似て短(みしか)く
大さ小指頭(こゆひのかしら)ほとあり対生(たいせい)す
夏月 茎(くき)高さ三四寸 梢(こずへ)穂(ほ)を
なして頗(すこふる)午膝(こしつ)#1に似たり小(ちいさ)き
淡紅花を開(ひら)き小円実(ちいさきまるきみ)を結(むす)ふ
形小 鈴(すゝ)の如くにて毛茸(け)あ
り根(ね)白色 鬚(ひけ)の如く処(しよ)々
苗(なへ)を生す葉(は)味(あしわい)淡(あは)し火炭(くわたん)
母草(ほさう)に先輩(せんはい)おしろいを
充(みつ)るは誤(あやまり)なり今 新(あらた)にこれ
を注(ちう)す
#2めごしつ
#3おにたで
【左丁】
一種 めこしつ#4
是たにたての大葉なる物なり是亦 山足(さんそく)湿地(しつち)にあり春月(はる)宿根(ふるね)
より生(せう)す初生(しよせい)紅色(こうしよく)藜(あかさ)の如く葉の形(かたち)酸漿(さんしやう)《割書:ほう|つき》に似て長く対(たい)
生し節(ふし)紫色(むらさきいろ)花実(はなみ)の形たにたてに似て稍(やゝ)大にして白花なり
一種 うしたきさう
山野(さんや)にあり春月(はる)宿根(ふるね)より生す茎(くき)葉(は)緑色(みとりいろ)葉(は)の形 円(まるく)して
対生(たいせい)蒟醤(くしやう)《割書:きん|に》#5の如くにて毛茸(け)あり茎(くき)高(たか)さ一尺 許(はかり)梢(こすへ)に
穂(ほ)をなして小き白花を開(ひら)く実(み)椒(さんせう)粒#6の大さ緑色(みとりいろ)なり
根は鬚(ひけ)の如く白し
#7三白草