翻刻
【右丁】
半辺蓮(はんへんれん) かたはくるま
又はたけむしろともいふ田畔(てんはん)水側(すいそく)#1に多し小草(せうそう)#2なり葉(は)は水楊(すいやう)
梅(はい)《割書:はなひ|りくさ》に似て尖(とか)り苗(なへ)地(ち)に搨(そう)す#3長さ三四寸 夏月(なつ)葉間(はのあいた)に花を開(ひら)く
五弁(いつへら)淡(うす)紅色かた〳〵へよりて車の半輪(はんりん)の如し故に此名あり
紫花地丁(しくわちてう) すみれ《割書:和名|鈔》
又ひとはくさともいふ是は長葉(てうやう)のすみれ
なり原野(けんや)向陽(ひあたり)#4の地にあり春月生す葉は車(しや)
前(せん)に似て狭(せは)く葉間に紫碧花(るりあくな)#5を開(ひら)く五弁(いつへら)
形 烏頭(うつ)に似て小なり又 紅紫(あかむらさき)花の物白花
の物あり是を白花 地丁(ちてう)《割書:本草|彙言》と云又紫
白 雑色(しほり)なるもあり実の形小き瓜(うり)の
如く熟(しゆく)すれは三つに裂(さけ)て中に細黒子(さいこくし)
あり
#6白花
#7さらさ
#8るり
【左丁】
一種 つほすみれ
又こまのつめともいふ原野(けんや)に多し春月
宿根(ふるね)より生す葉は細辛(さいしん)に似て小(ちいさ)く一根
叢生(さうせい)し葉間(はのあいた)に花あり淡紫色(うすむらさきいろ)形(かたち)は長葉(てうやう)
の物と同し実も似て円(まる)し又 葉中(はのなか)に紫
色の筋あるものあり此類皆 菫々菜(きん〳〵さい)《割書:救荒|本草》
なり
一種 みやますみれ
深山(みやま)に生す葉(はの)
背(うら)紫色なり
稍(やゝ)長葉の物も
あり花は淡(うす)紫色
なり
一種 亀甲(きかう)すみれ
葉(は)円(まる)く小く亀甲(きつかう)文あり
花 淡(うす)紫色なり又 御紋(こもん)
すみれと云あり葉大にして
加茂(かも)あふひの如き紋脈(もんみやく)あり
#9紫花地丁 十種