翻刻
【右丁】
一種
短葉(たんやう)の物(もの)
【左丁】
防葵(ほうき) 牡丹(ほたん)にんじん 五島防風(ことうほうふう)
豆州(つしう)相州(さうしう)房州(ほうしう)等(とう)の海辺(うみへ)に生(せう)す葉(は)は牡丹(ほたん)に似(に)て粉緑色(ふんりよくしよく)三四年を経(へ)るもの花茎(はなくき)を抽(ぬきん)して
頂(いたゝき)に傘状(からかさのかたち)なして小白花(せうはくくは)族生(そくせい)す当帰花(とうきくは)#1の如(こと)く実(み)は羗活(きやうくわつ)の如(こと)し根(ね)も羗活(きやうくわつ)に似(に)て芦頭(ろつ)#2
に毛(け)あり古(いにしへ)は人参(にんしん)に充(あて)売(うり)しことありかつて人参(にんしん)の属(たくひ)に非(あら)す又 防風(ほうふう)にも偽(いつは)る用(もち)ゆへからす
狼牙(らうけ) みつもと《割書:木曽|信州》 よこびくさ#3 とくゞさ《割書:共に|同上》
野州(やしう)日光山(につくわうさん)足尾(あしを)及(およひ)木曽山中(きそさんちう)に多(おほ)し宿根(ふるね)より生(せう)す葉(は)は蛇苺(しやも)に似(に)て長(なか)く竜芽菜(りうけさい)#4《割書:きんみ|つひき》
に似(に)て三葉をなす茎(くき)葉(は)毛茸(け)あり夏月(なつ)茎(くき)抽(ぬきん)して直立(ちょくりつ)し枝(ゑた)を分(わかち)て五弁(いつへら)の黄花(きいろのはな)を開(ひら)く
形(かたち)蛇苺(へひいちこ)又おへひいちご#5に似(に)たり後(のち)実(み)を結(むす)ふ鱧腸草(れいてうさう)の実(み)に似(に)て小なり熟(しゆく)すれは黒(くろ)し
根は竜芽菜(りうけさい)#4に似(に)たり老根(ろうこん)頗(すこふ)る牙(きは)に似(に)たり木曽山中にてぶすくさと称(せう)して大(おほい)に恐(おそ)るぶす
とは毒(とく)と云ことなり和名鈔(わめうせう)にこまつなきと訓(くん)し古人 大葉(たいやう)のだいこんさうを充(みつる)は穏(おたやか)ならす
#6狼牙