Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション2

BnF. Département des manuscrits. Japonais 4169 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 4169 - ページ 10

ページ: 10

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さてまた北は冬なれや庭の草木も霜枯の いつしか山は白妙の雪にむもるゝ谷の戸 に心ほそくもすみかまのけふりにしるきし つかわさも冬としらするけしきかなかくて 面白き事ともに心をなくさみてみとせにな るはほともなしさて浦嶋太郎申やう我 にしはしのいとまをたひ候へかしふるさとの父 母をみすてかりそめに出てはやみとせにな り候へは心もとなく候ほとにみたてまつり て心やすくまゐり候はんと申けれは女房 涙をなかし申けるは此みとせが程はえんわう のふすまの下にひよくのかたらひをなしてか た時みえさせ給はぬ事にもとやせんかくやあ らましと心をつくし申せしに今御身に別 なは又いつの世にかはあひまゐらすへしふうふ は二世の契りと申せは此世にてこそゆめまほろ しの契りにておはしまし候ともかならす来世 にては一はちすのえんとむまれあはせ給へかしと てさめ〳〵となきけるかしはし有て女房申けるは 今は何をかつゝみさふらふへきみつからと申 は此りうくうしやうの亀にてさふらふか 一とせえしまかいそにて御身に命をたすけ られしなさけにいつの世にかはかゝる御恩を ほうし申さんとおもひしゆへにかくふうふとは なりまゐらせ候又是は形見に御覧候へとてひた りのわきより手箱を一つとり出して申やうあ ひかまへて〳〵この箱をあけさせ給ふなとて形 見に是參らするとて渡しけり会者定離 のことはりあふものは必別るゝとはしりなからかめ かくなん  日数へて重し夜半の旅衣立別つゝいつかきてみん 浦島かへし  唐衣うらかなしくも立別れ又きてみんもしらぬ行末 と詠してたかひに名残をゝしみつゝ形見の物 をとりもちてなく〳〵ふるさとへこそかへりけれは るかの波路を行舟のかいのしつくも涙もなかし そへたる袖のうへをいかゝせん又うら嶋かくなん  かりそめに別し人の面影を別もやらぬ身こそかなしき 扨浦島太郎はやう〳〵ふるさとへ帰りみれは ひとの通ふ跡もなくあれはてゝとらふす野